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経済統計の作成方法と特徴(全数調査/標本調査/代理変数による推計)

 
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経済学修士取得。 今は金融業界で営業として働くサラリーマンです。 リサーチ職(エコノミスト)、経済学博士取得を目指して奮闘中。

こんばんは、サーズです。

今日は、エコノミスト必携(?)の名著『経済統計の活用と論点』から、経済統計の作成方法の紹介とそれぞれの特徴、注意点などを紹介します。例は出版当時(2009)のものなのでご注意下さい・・。では早速。

全数調査

・文字通り、全て調べたもの。単純集計が行われたもの。

・通常、特定の企業団体が作成する経済統計は、その業界団体に属する全企業の単純集計値

・政府が行政記録を集計した統計は、全数調査となっている。(有効求人数、貿易統計など)

・金融統計も、金融監督の観点から全数調査となっている場合が多い。(マネーストック統計のうちM2,M3)

メリット

・標本誤差が存在しないため、その意味で統計制度は高い。

デメリット

・回答がない調査客体があると、そのまま反映されてしまう

⇒全数調査であっても、一定の段階で答えを得られる範囲から速報値を作成し、その後確報で改定するという手続きが取られることも。

・企業の合併や倒産などによって調査対象数が変動したりすると、その値が反映される

 

標本調査

・特定の標本の調査結果をもとに、全体(母集団)の値を推計したもの。

・GDPの需要項目のうち、「家計調査」、「法人企業統計調査」、「労働力調査」、「日銀短観」

・標本の選び方には、無作為抽出ではなく、標本を恣意的に選ぶ有意抽出を用いる統計も多い。

・例えば「機械受注統計」「製造工業生産予測指数」

メリット

・全体を漏れなく把握することが困難である場合でも統計を作成することが出来る。

デメリット

・標本抽出時や母集団推計の過程で標本誤差が出る

・標本の入れ替えに伴い時系列の変化に独自のくせ(段差)をもたらす場合がある。

⇒法人企業調査は毎年第2四半期で標本が入れ替わるため、データに明確な段差がある

 

代理変数等による推計

・そもそも適切な統計データの把握が不可能である場合、一定の過程の下で代理変数を用いて推計を行う。

・例えば「企業物価指数」

受注生産される機械、オーダーメイドの旅行商品、多様な料金体系の通信費など

「一物多価」の場合、データの収集、推計が困難であるため、結果的に対象外としたり、全体の取引金額から求められた「平均価格」を基礎データとするといった次善の策がとられている。

メリット

・適切な統計データがない場合でも統計データを作成出来る

デメリット

・仮定を置く分現実との差異が出来精度が落ちる

 

加工・調整

GDP等の「SNA統計」や「資金循環統計」は1~3の元で作られた「一次統計」を加工・調整して出来たものである。

加工方法によって数値も変化しうるため、その過程で何が行われているかを念頭に置く必要がある。

通常用いられる本系列とは別に、参考系列も公表される場合がある。

季節性がある多くの統計では、原系列と季節調整済みの2種類の数値が公表される。

まとめ

全数調査

メリット:標本誤差が存在しないため、その意味で統計制度は高い。

デメリット:回答がない調査客体があると、そのまま反映されてしまう/企業の合併や倒産などの影響を受ける

標本調査

メリット:全体を漏れなく把握することが困難である場合でも統計を作成することが出来る。

デメリット:標本誤差が出る/標本の入れ替えに伴い独自のくせ(段差)をもたらす

代理変数による推計

メリット:適切な統計データがない場合でも統計データを作成出来る

デメリット:仮定を置く分現実との差異が出来精度が落ちる

 

こんなことばっかり言っている気がしますが、ひとつひとつの統計についても記事が書けそうだったらアップしていきますね。

今日は以上です!

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